症例紹介
両側耳道内からの腫瘤、外耳炎を認めた犬
2024/02/17/
主訴
ポメラニアン 7才避妊雌が避妊手術のため当院を受診。
日常的に耳を痒がり、耳が臭う状態が続いていました。他院で外耳炎治療を受けたが、良くならないまま諦めていたとのこと。
視診
両耳耳道内から1.5cm程の突出した腫瘤が認められました。
両耳耳介と耳道が腫れて狭窄していて、耳だれと耳垢も目立った状態でした。
耳垢を顕微鏡検査にて確認したところ、細菌感染が認められました。
<右耳>
<左耳>
診断
両耳耳道から突出した腫瘤を外科的に切除し、病理組織検査を実施しました。
病理検査の結果、耳道内炎症性ポリープと診断されました。
この病変は、腫瘍とは異なり、耳の慢性的な炎症が原因となって発生したものです。中耳または外耳に発生し、中耳に発生した場合は、鼻の奥の咽頭や耳と鼻をつなぐ耳管を閉塞し、呼吸障害や鼓膜の破裂を起こすことがあります。
今回の症例では病変の発生は外耳のみでした。
外耳炎の原因が、細菌の感染によるものと考えました。耳垢の細菌培養検査により細菌種の特定を行った上で、どの抗菌薬が有効かを調べるために、薬剤感受性試験を実施しました。
治療と経過
検査結果に基いた抗生剤の使用、外耳炎に対する外用薬の使用、通院による耳洗浄を行いました。感染による耳だれの改善が認められたので、炎症を抑えるためにステロイドの内服薬を追加しました。
両耳の炎症は改善され、耳だれ、耳の痒みがなくなり臭いも改善されました。
外科摘出後も再発を起こす可能性があるため、今後も定期的に耳の炎症がないか経過を見ていきます。
<右耳>
<左耳>
今回の症例のように外耳炎を適切な治療がなされずに放置した状態が続くと、巨大なポリープの発生や耳道閉塞を起こしてしまう可能性があります。
定期的に病院で耳の汚れや炎症がないか確認することが一番の予防になります。
耳を痒がったり、臭いが気になる、赤みが気になるなど何か気になる症状があればいつでも当院までご相談下さい。
鴨宮動物病院では、健康診断やワクチンなどの予防医療から外科手術までを幅広く診療対応しております。