症例紹介
胃内および腸内異物を摘出した犬(胃切開術、腸管部分切除術および腸管吻合術)
2023/08/02/
主訴
昨日の朝から胃液を何度も吐き、今日も水を飲んでは吐いている。
昨日の朝から元気もないとのことで来院されました。
検査
血液検査、X線検査、超音波検査などを行ったところ、胃と小腸に異物があることが疑われた為、緊急手術を行うことになりました。
治療:外科手術
脱水や膵炎所見もあったため点滴を行い、可能な限り麻酔リスクを下げた上で手術を行いました。
全身麻酔下でお腹を開け、胃(写真①)と小腸(写真②)に食べ物ではない硬い塊が見つかりました。
胃の色は肉眼的にキレイだったため、切開して異物を摘出しました。
写真③は縫合後の胃です。
写真④は胃内から摘出した複数の異物です。
小腸は異物が詰まって血流が悪くなってしまい変色していました。
壊死して腸に穴が開く可能性があったため、異物とともに部分的な腸切除をすることとしました。
切除後に断端同士を吻合しています(写真➄)。
写真⑥は切除した腸管で、切開して中の異物を確認しています。
獣医師からのコメント
この症例は、強い吐き気が出たり、食欲や活動性が低下したりしてからある程度時間がたっていたので、腸管の壊死が強めに出ていました。
壊死した部分は破れやすく、穴が空いてしまうと(消化管穿孔)、命を落とす危険性が高いです。
異物を食べてしまいやすい子や、疑いがある子が嘔吐や食欲・活動性低下がみられた際は早めにご来院下さい。
鴨宮動物病院では、健康診断やワクチンなどの予防医療から外科手術までを幅広く診療対応しております。