症例紹介
脾臓摘出および肝臓生検を行った犬 (脾臓摘出術、肝臓組織生検)
2023/08/03/
主訴・検査
春の健診の血液検査で若干の異常値がみられたため、追加検査として腹部エコー検査を行ったところ脾臓および肝臓に腫瘤が認められました。
肝臓の手術にはCT検査が勧められ、手術実施も含めて大学病院への紹介も提案していますが、飼主様との相談の結果、当院で脾臓の摘出および肝臓の生検を行うこととなりました。
治療・検査:外科手術
全身麻酔下でお腹を開け、脾臓を出してエコー検査で確認していた腫瘤が確認出来ました(写真①)。治療兼確定診断のために脾臓腫瘤と共に脾臓摘出を行いました。
その後、肝臓を肉眼的に観察し、小さな組織片を肝臓から切り出しました(写真②)。
大きな出血もなく、お腹を閉じて手術は終了し翌日には退院しました。
経過は良好で2週間後に抜糸しています。
提出した脾臓と肝臓生検の病理組織学的検査は、
脾臓:リンパ管過形成、肝臓:軽度の炎症を伴う高度変性
であり、悪性腫瘍ではなかったため肝臓変性に対しての注意深い経過観察となりました。
獣医師からのコメント
脾臓腫瘤の中には命に直結する悪性腫瘍が隠れていることがあり、注意が必要な場合があります。また、悪性腫瘍ではないものの、脾臓の“しこり”がお腹の中で増大・破裂して急死することもあります。脾臓は血管が豊富な臓器なので、悪性でも良性でも、ある程度の大きさのものは、破裂による突然死を防ぐ為にも、手術による腫瘤摘出が必要となります。
お腹の中の“しこり”は血液検査のみでの発見は中々難しいため、腹部超音波検査が勧められる理由の一つでもあります。
鴨宮動物病院では、健康診断やワクチンなどの予防医療から外科手術までを幅広く診療対応しております。